ペット共生型賃貸住宅に住むペットを飼わない人達|編集長ブログ
こんにちは。大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」の統括編集長の上田です。今回は、「編集部こぼれ話」をお届けします。ペット共生型物件の意外な実状についてご紹介します。
ペット共生型のアパート・マンションなのにペットを飼っていない人が多い⁉
ペット共生型の物件でも、ペットを飼っていないような「普通の人」が住んでいるケースは多い
先月、「ペット共生型は当たり前に。ペットを飼うとそれがわかります」
と題して、ペット共生型マンション・アパートについてお話ししたばかりです。
(→当該記事)
日々の取材でも実感しています。ペット共生型のマンション・アパートはどんどん増えています。人気も高く、完成前に満室が決まる物件も多いそうです。そんな話を聞きながら、「統計どおりだな。ペットを飼いたい人が今は本当に多いんだな・・・」と、思っていました。
ところが、よくよく聞いてみると、ちょっと様子の違う例も中にはあるようですので、今回はそのことをお話ししましょう。私が知ったのは、埼玉県のあるペット共生型アパートでの状況です。
当然、入居者の全員が現在ペットを飼っているか、これから飼おうと考えている人ばかりと思っていたのですが、そうでもないらしいのです。
実は、入居者の約半数が、ペットを飼っていません。さらにその半数、つまり全体の1/4が、「飼う予定はありません」とおっしゃる方々なのだそうです。管理会社さんによれば、この物件に限らず、「どこも大体そんなものですよ」とのこと。
ペットを飼うつもりがないのに、なぜ、彼らはペット共生型の物件に住むのか、ちょっと不思議です。こんな話も聞きました。
音楽大学の近くに建った、防音性能のきわめて高いマンション。ピアノを弾いても音が部屋の外に漏れないつくりになっています。入居者の顔ぶれを見ると、音大の学生さんが半分弱です。ほかには、楽器演奏を趣味とする一般社会人や、音楽観賞が好きな人。
そして、意外と多いのが、音楽に対して特に関心が高いわけでもなく、通常の興味程度しか持たない、「普通の人」なのだそうです。
そんな普通の人が、なぜわざわざ防音にこだわったマンションを選ぶのか。
これもまた不思議です。なぜか・・・?
実は、理由は簡単なようです。賃貸住宅を探していたところ、立地や家賃、広さなど、希望の条件に合う物件を見つけた。それがたまたま、ペット共生型マンション・アパートであったり、防音性能の高いマンションであったりした。自分はそれらの機能を活用しないが、それが暮らしの邪魔になるわけではない。「だから入居を決めました」と、いうことらしいのです。なるほど、納得です。
「でも、ペット共生型の物件に住んでいながらペットを飼わないとなると、近所付き合いでさびしい思いをするのでは?」
そう心配する人も、中にはいるかもしれません。しかし、そういった方はおそらく少数派でしょう。多くの人にとっては、その物件が持つ付加価値が自分の生活に支障を及ぼすものでないかぎり、暮らし方は人それぞれ。気にはならないと思われます。
ターゲットを絞ることは有効だが、柔軟な考え方も大切
このブログでは、最近、「ターゲットを絞って成功したオーナーさん」の事例を
続けて紹介しました。
(「ターゲットを絞って成功!80代のイキイキ大家さん」)
(「ターゲットを絞って成功!そこは「男の隠れ家」だった」)
もちろん、しっかりと顧客のターゲットを絞るのは、今の時代、様々な事業でも有効とされていることです。
しかし、選んだターゲットだけに顧客を限定し、他を排除するといったことは、賃貸住宅においてはあまりするべきではない。もしくは、「それをすると大変もったいない!」と、いうことは言えるのかもしれません。
普通の人を普通に入居者として集めるのに加えて、「ペット共生型であればペットを飼う人」を「防音性能の高い物件であれば音大生や楽器好きの人」をプラスで獲得することができる・・・。
そんな風に考える柔軟性も、一方で必要なようです。