まずは市況は上向き?「日管協短観」が示す賃貸住宅市場のいま|編集長ブログ
こんにちは。大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」の統括編集長の上田です。今回は、「賃貸経営お役立ち情報」をお届けします。2013年6月に発表された「日管協短観」から、いくつかのトピックをひろってみたいと思います。
賃貸住宅市場の現状がデータで読み取れる
首都圏の市況は回復・上向きの傾向がうかがえるデータに
日管協短観は、「公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会」が、賃貸住宅市場における景況感を半期(4~9月、10~3月)ごとに調査し、分析、その結果を公表しているもの。
今回の2012年度下期(2012年10月~2013年3月)分は、首都圏62社、関西圏34社、その他99社・・・計195の管理会社から寄せられたアンケートへの回答が反映されたものです。
まずは入居率です。前年同期(2011年度下期)からの推移を見ると、おおむね全国的に改善基調です。特に目立つのが首都圏の折れ線グラフ。委託管理、サブリースともに、直近2012年度上期からの「はね上がり」が確認できます。
一方、滞納率の推移を見ると、同じく直近2012年度上期からの若干の下落を見てとれます。これら両方を併せ、「首都圏の市況、回復・上向きの傾向がどうやら窺える・・・」いまのところは、そう見てよい状況でしょう。
成約賃料は減少傾向。原状回復費用のオーナー負担は増加気味
とはいえ日管協さんは、こうも指摘しています。
「成約賃料は依然として下落状態にある。とりわけ首都圏で『減少』の回答の割合が高い」と、なると・・・いわゆるアベノミクスが、今回の調査対象となっている時期(繰り返しますが、2012年10月~2013年3月です)以降、どう市場に影響しているのかも大変気になるところです。
こんな数値にも目がとまります。ひとつは「原状回復費用のオーナー負担増の割合」。これについて、「増えた」と「やや増えた」、両方の回答を合わせた割合は、首都圏で58.4%です。
また、入居時の条件交渉(イコール値下げ要求ということになるでしょう)についても、首都圏では最近やや下がる傾向はあるものの、72.9%が「賃料での交渉が多い」、59.3%が「礼金・敷金等初期費用での交渉が多い」と、回答。こういった面での厳しい状況は依然続いており、今後もしばらくは続くか、あるいはある程度の定着化に向かう様子も窺えそうです。
さらには、「賃貸契約件数における機関保証の加入必須割合」。今回はじめて調査された数値とのことです。首都圏では「100%加入必須としている」の回答が21.6%にのぼっています。ちなみに、近畿圏は25.0%。その他のエリアでは24.1%。いずれにおいても、今後のさらなる増加が予想される数値です。
公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会による「日管協短観」、下記でぜひご覧になってみてください。