おんぼろアパートでも建替えたくない!|編集長ブログ
こんにちは。大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」の統括編集長の上田です。今回は「編集部こぼれ話」です。オーナーさんから寄せられた賃貸経営に役立つアドバイスの一部をご紹介しましょう。
「オンボロでも思い入れがあるから建て替えずに続けたい」それに対する意見は?
家賃を下げる、大学の近くの物件ならば学生にターゲットを絞るなど様々な意見
今回は、「おんぼろアパートでも建替えたくない!」
どんなお話なのでしょうか?
「知り合いのご高齢のオーナーさん、築40年、4畳半の和室が並ぶ風呂無しのアパートを経営。共用部分にコインシャワーだけが付いていて、賃料2万円。駅から10分以内で、大学も近いのですが、いまはガラガラです。
建て替えしては?と勧めてみたのですが、思い入れがおありなのか、絶対にイヤなのだそう。いまの状態のままで、なんとか入居者を付けたいとおっしゃっています。
どうアドバイスしてあげたものか・・・。ちなみに、いま借りている人は、住んでいるのではありません。物置きとして借りているのだそうです」
以下、多くのオーナーさんからアドバイスが寄せられました。
「単純に、家賃を下げてみる、というのはどうでしょう?なぜなら、たとえ100円でも、下げれば1万円台になります。1万円台というのはかなりのインパクト。ただ、4畳半の和室で風呂無しでは・・・大学が近いとはいっても、むしろ今どきの学生さんこそ、入居してはくれないかもしれません」
「建て替えが絶対にイヤということは、リフォーム、リノベーションもNGということでしょうか。すると、やはり賃料を下げるくらいしか思いつきません。あとは、限りなく可能性は低いでしょうが、大学の美術部のアトリエとして、絵の具やペンキなどでいくら汚してもOKといったような条件で借りてもらうとか・・・」
「生活保護を受けていらっしゃる方に入居していただくというのは?賃料を1万円台にして、役所に話を持ち込めば、斡旋してくれるかも知れません」
「建替えはダメだけれどリフォームはいい、と、もしもオーナーさんが決心されるようでしたら、壁を抜いて2部屋をつなげ、部屋の隅にシャワーブースを置く、などというのはどうでしょう。それでも家賃は4万円ほどにもならないかもしれませんが、入居希望者は現れるのでは」
「いま借りていらっしゃる方が、住まずに物置きにされているということであれば、同様のニーズがほかにもあるかもしれません。収納ボックスやトランクルームとして募集してみては」
「やはり大学が近いのですから、なんとか探し出して、いわゆる苦学生の方に入居してもらっては。今どきオンボロな物件を借りてくれる学生さんは確かに少ないとは思いますが、一方で、報道や統計などを見ると、経済的に大変苦しい状況にある学生さんが、現在、とても多いことも示されています。通学路に募集の貼り紙をしてみては?」
「入居者募集もいいのですが、その前に、建物の耐震性能は大丈夫でしょうか。入居者の生命の安全確保、それに向けての最大限の努力、オーナーの義務です」
続けたい気持ちも分かるが、オーナーの責任としてまず考えるべきは入居者の安全
以上、いかがでしょうか。築40年の風呂無し四畳半・・・かつてそこに暮らした大勢の皆さんだけでなく、多分、オーナーさんご自身にとっても、いろいろな思い出が詰まっている大事な建物なのでは。だからこその、
「オンボロだけどいまのままで入居者募集を続けたい!」
そんな固いご意志なのかもしれません。そのあたりを察せられた様子のご意見を上記のとおり、多くのオーナーさんが、お寄せくださいました。
ただし・・・!最後のオーナーさんのご指摘、これは本当に重い事実です。巨大地震にいつ襲われるとも知れない、いまや危機的状況にあるといってもいい私達の首都圏。
耐震性の乏しい建物、強度の失われた建物に、それを承知で入居者を住まわせ、もしも最悪のことが起こった場合・・・オーナーさんは一生の責め、償い、さらには後悔を背負うことにもなるでしょう。
賃貸住宅オーナーは「経営者」。社会に対し、責任重い存在であるとの心構えは、そうした面からも、今後ますます重要になってくるでしょう。