日本賃貸住宅管理協会が「めやす賃料表示」を導入|編集長ブログ
こんにちは。大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」の統括編集長の上田です。今回は「賃貸経営お役立ち情報」です。日本賃貸住宅管理協会が自主ルールとして導入・推進を目指す「めやす賃料表示」をご紹介します。
導入されたとしても影響は少ない?めやす賃料の算定方法への違和感も
全国1100社以上の賃貸住宅管理会社などが加盟する財団法人日本賃貸住宅管理協会が、「めやす賃料表示」を業界の自主ルールとして導入・推進することに決めたそうです。
全国一律に、同じ基準で計算した、「めやす賃料」を表示するというもので、早ければ10月からのスタートとなるそうです。賃貸住宅の賃料体系は地域によって異なることが知られています。
そこで、このめやす賃料表示を導入することで、地域をまたいで移動する人に対しても、適切かつ、わかりやすい情報を提供していきたいとのこと。
賃料、共益費・管理費、敷引金、礼金、更新料、などを算定に含んだ上で、賃料など条件の改定がないと仮定し、4年間、住んだ場合を想定、その際の1ヶ月当たりの金額が、「めやす賃料」になるということです(4年間の支払総額÷48ヶ月)。算定に含まれない費用は、仲介手数料、更新事務手数料、保証会社への保証委託料、家財保険等の保険料など。
さらに詳しくは、財団法人日本賃貸住宅管理協会のサイトをご覧下さい。
ただ、以上を知って思うのですが、上記「めやす賃料」ではない、従来の表示が、とても不便だったのかと言うと、私はそれほどでもない気がします。
インターネットでは、家賃と共益費・管理費は、大抵、合計金額で検索できます。礼金・敷金も、通常は月額賃料のすぐ横に表示されています。大方の人が、画面上で、これらをすぐに理解できるはずです。
但し、今回のめやす賃料表示では、更新料が算定に加わります。「より良心的」ということはできそうですが、これまでとの違いは?といえば、わずかにこの点だけと言ってよいでしょう。
また、上記のとおり、4年間住んだ場合の1ヶ月当たりの金額がめやす賃料となるそうですが、実際、入居期間の平均は3年程度と言われています。それよりも長めの期間で割ることに、やや違和感を覚えます。
ちなみに更新料は、首都圏や京都など一部地域において特に多く見られる商習慣です。全国どこでも一般的なもの、というわけではありません。
そこで思うのですが、この時期に、こういったルールを決めるというのは、おそらくは、更新料裁判を意識してのことなのではないでしょうか。
しかしながら、この自主ルールが出来たからと言って、裁判に影響を与えるとは考えにくいですし、「更新料は無効」の判決が出てしまえば、たとえめやす賃料表示をしていても、更新料の存在自体が「無効」とされることに変わりはないでしょう。
なので、なぜ今こうしたことを決めたのか、いまひとつ、よくわからないのです。もっと深い理由やねらいがあるのかもしれません。近いうちに取材に行って、勉強してきたいと思っています。
10月以降、インターネットなどで、めやす賃料が実際にどこに表示されるかというと、いわゆる備考欄になる可能性が大きいようです。やはり使い勝手がよくないのでは・・・。
なお、京都へ転居する人にとっては、確かに、めやす賃料の把握は重要かもしれません。
他地域よりも高い更新料がその理由です。更新料を設定する物件がほとんど見られない地域もある中、東京は通常2年で1ヶ月分。
しかし、京都では1年で2ヶ月分が一般的です(最近は大阪高裁での無効判決が影響し、変わりつつもあるそうですが)。月額賃料が同じ物件でも、めやす賃料は大きく違ってくることになります。